インタビュー 【トップインタビュー】子育て支援「地域の応援メッセージ」=森沢恭子・東京都品川区長 2023/06/23 08:30

子育て政策は「地域が子育てを応援しているという大きなメッセージ」と語るのは、2022年12月、女性初の東京都品川区長に就任した森沢恭子区長(もりさわ・きょうこ=44)。「誰もが生きがいを感じ、自分らしく暮らしていける品川」を掲げ、区長就任後から「区立小中学校給食費」「第2子以降の保育料」「高校生の医療費」の三つの無償化など、子育て政策に力を入れる。
「子育て世代をはじめとする現役世代が生き生きと働いて暮らしていくことができれば、まちが活性化し、地域の消費が増え、税収が増え、さらに福祉を充実させることができるという好循環が生まれていく」と主張。子育て支援は「大事なスタート地点」だと強調する。
現職の不出馬を受け、新人同士の争いとなった区長選では立候補した6人がいずれも法定得票数(有効投票総数の4分の1)に届かず、戦後7例目、都内では初めてとなる再選挙にもつれ込んだ。ようやく区長に就任したときには、23年度当初予算案の編成が佳境を迎え、すぐに区議会の定例会が始まった。「怒濤(どとう)の半年だった」とこれまでを振り返りつつ、「職員の尽力により、重点政策として掲げていた公約を予算に盛り込めた」と胸を張る。
一方、区長に就任して分かった課題として、区民の区政への関心の低さを挙げる。初回の区長選と再選挙のいずれも投票率は30%台と低く、再選挙は初回を約3%下回った。「『区民と進める品川区』を掲げる中、どうすれば現役世代も含め、品川区政に参画してもらえるかを考えている」と思案する。
そうした中で実施したのが、6月の区民と区の未来を考えるタウンミーティングだ。子育て世代からシニアまで幅広い世代が参加し、区の課題に対してアイデアを出し合う姿に手応えを感じた。
今後は「区民の持つ思いやアイデアをどうやって政策につなげて、区をより良くする方向に持って行くかを考えたい」と語る。区民だけでなく、区内の企業や団体をつなげて地域の課題解決を図る仕組みについても構想を巡らせる。
「行政だけで地域課題を解決できるわけではない。多様な主体と連携していく中で、区民の参画を促し『自分たちのまちは自分たちで良くしていく』といった流れになっていけば」と前を見据えた。
〔横顔〕趣味はママ友たちと一緒に行う月1回のヨガ。
〔区の自慢〕商店街や祭り、伝統文化がある一方で、再開発など新しいまちづくりが進められている。
(了)
(2023年6月23日iJAMP配信)