インタビュー 【トップインタビュー】地域の団結で町が活性化=鈴木慎也・北海道木古内町長 2023/06/29 08:30

北海道の南西部に位置する木古内町。2016年3月に北海道新幹線が開通し、木古内駅は本州からの玄関口となった。駅前の道の駅「みそぎの郷(さと)きこない」は道内トップレベルの人気を誇る。鈴木慎也町長(すずき・しんや=44)は「道の駅の役割は広域観光拠点。道南地域が一つになることが町の活性化につながる」と力を込める。
22年3月には函館空港から町を約40分でつなぐ函館・江差自動車道木古内インターチェンジが開通。それも追い風となり、22年度の道の駅来館者数は16年の開業以来最多の60万人を突破した。
成功の秘訣(ひけつ)は「スタッフのやりたいことを実現すること」。例えば、子育て世代の女性スタッフによる「地域に住む魚を見られる場があればいい」との発案から、22年10月には水族館コーナーを開設。従業員が町内の海辺や川で釣ったニジマスやカジカなどを展示する。「近隣の北斗市や知内町から子どもが来て、『生きた教材』として活用してもらっている」と胸を張る。
さらなる広域観光の発展のため、近隣の首長にも「汗をかこう」と呼び掛けた。周辺8町を回り、各首長と共演する動画を作成。ユーチューブの「旬感千年北海道」チャンネルで公開している。
相撲が有名な福島町では両町ご当地キャラクター同士の取組を応援。松前町では松前城前で町長同士がチャンバラを繰り広げた。「(役場)職員や観光協会、民間が頑張っている中、首長同士が意思表示すればもっと連携しやすくなる」と、横のつながりの深化を図る。
医療や教育の課題に直面する中、「課題を解決し、地域の成長につなげるのがデジタルトランスフォーメーション(DX)だ」と考える。今年6月には自身が最高デジタル責任者(CDO)に就任。プログラミング指導などを行ってきた、はこだて未来大特命教授の美馬義亮氏をCDO補佐官に任命した。道内でのCDO補佐官の任命は札幌市に次ぎ2例目。
昨秋、教育長に登用した藤沢義博氏もプログラミングスクール運営会社の元社長。「子どもたちが世界で活躍するためため、教育長にはトップレベルのデジタル経営者が適任と判断した」と語る。「DXをエンジンに、50~100年後も持続可能な町にする」と未来を見据える。
〔横顔〕函館市出身。東京でのサラリーマン勤務や町議を経て、20年4月初当選。3児の父で、長男は今春、役場隣の小学校に入学した。「毎日、一緒に通勤通学している」。
〔町の自慢〕「先人から受け継いだ豊かな自然」。森林や農家、漁業者を守るため、水源地保全に向けた条例制定に乗り出す考えだ。
(了)
(2023年6月29日iJAMP配信)