インタビュー 【トップインタビュー】行政サービス総動員で選ばれる街へ=柴田浩・愛知県尾張旭市長 2023/07/05 08:30

愛知県北東部に位置し、名古屋市中心部からのアクセスが良い尾張旭市。1月に初当選した柴田浩市長(しばた・ひろし=66)は「少子超高齢化や人口減少が最大の課題」と指摘した上で、「行政サービスを総動員して、住む場所として選ばれる街にしたい」と力を込める。
市は地域活性化に向け、名古屋鉄道(名鉄)瀬戸線の三郷駅周辺で再開発事業を進めている。同駅は名古屋市中心部の栄町駅まで最短22分で、尾張旭市内にある4駅の中で乗降客数は最大。「中長期的に残り続ける再開発をやっていく。市の将来を左右する大きな事業だ」と話す。
市は地権者が参加する再開発準備組合と連携して事業を進めている。組合は2022年、三菱地所レジデンスとフージャースコーポレーションによる共同企業体との間で協定を締結。24年度に着工し、駅南側に高層マンションや商業施設を整備する予定だ。
市は今年5月、少子超高齢化や人口減少など市が抱える人口問題への対応を協議する全庁的な対策本部を初めて設置した。本部長は柴田氏が務め、教育長やこども子育て部長ら計14人で構成する。「今手を打てば短期的に盛り返す可能性もあるし、うまくいけば中長期的な伸びも期待できる」と意欲を燃やす。
名鉄出身で、同副社長や名鉄百貨店社長を歴任。市長に就任早々、元職員による不祥事への対応に追われた。「新市長として覚えることが多い中、同時に抱えていた大きな課題だった」と振り返る。
市は2月、会計課の元職員が公金を自分の口座に繰り返し送金していたことを公表した。その直後に市長に就任した柴田氏は、人事課や情報政策課などの職員で構成する調査検証チームを設置。弁護士ら外部専門家の意見を盛り込んだ報告書を取りまとめ、4月に発表した。
企業倫理委員会に所属していた名鉄役員時代に培った知見が生かされたといい、「ここから市民の信頼を回復していきたい」と決意を示した。
〔横顔〕趣味は御朱印集め。神社仏閣を巡って集めた御朱印は、御朱印帳十数冊分に上る。
〔市の自慢〕日本紅茶協会が認定する「おいしい紅茶の店」が市内に13店舗あり、人口1人当たりの認定店舗数が日本一を誇る。
(了)
(2023年7月5日iJAMP配信)