2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】府唯一の村「便利になるなら合併賛成」=南本斎・大阪府千早赤阪村長 2023/07/05 08:30

南本斎・大阪府千早赤阪村長

 大阪府南東部の山間地に位置し、奈良県と接する府下唯一の村、千早赤阪村。近隣の河南町や太子町との広域連携を進める中で、2町1村での合併が「近い将来の一つの選択肢」に挙がっている。過去に近隣市との合併案は2度決裂。南本斎村長(みなみもと・ひとし=68)は「具体的に(決まったことは)何もない」とした上で、「合併することで(住民の生活が)便利になるなら、当然私も賛成だ」と語る。

 千早赤阪村の人口は、4月末時点で4842人。大阪府の分析では2045年には半数以下の2200人程度まで減少する。府が5月に発表した中長期財政シミュレーションでは、早ければ今年度から収支不足が発生する見通し。「高齢化率は46%を超え、府下一番。どのように健康で暮らしていただけるかを最優先に考えないといけない」と話す。

 近隣の河南町と太子町も、26年度か28年度からそれぞれ収支が不足する見込み。2町1村で職員採用試験の共同実施や公共施設の共用化などの提携を検討しているが、今年5月に設置された2町1村の会議体「未来協議会」は、「合併についても検討を深める」ことをテーマの一つと位置付け、議論に着手した。

 千早赤阪村に合併論が浮上するのは3度目。村は02年に富田林市などと、08年には河内長野市と合併協議を行ったが、いずれも物別れに終わった。「(今後は)単に財政難だからとか、経費節減で合併というのはもう無理」と分析する。

 未来協議会では合併ありきの議論はしていないが、検討を重ねる中で、住民サービス向上のため合併協議に進む案が出る可能性はある。ただ、2町1村だけの合併では「市にもならない」という。小規模な合併にメリットがあるのか、富田林市や大阪狭山市といった周辺の市も巻き込むべきか。村の将来を左右する議論だけに単純ではないが、「それまでにもっとすることがたくさんある」とも強調。医療体制の充実や自主財源確保といった目の前の課題解決に向けた努力を続ける考えを示す。

 武将ゆかりの史跡など、文化資源や豊かな自然に恵まれた千早赤阪村。自然を守りながら企業や観光客を呼び込み、村の活気を取り戻す施策も進める。「合併しようがしまいが(地域を)大阪唯一のオアシスにするのが僕の仕事」と意気込んだ。

 〔横顔〕生まれも育ちも千早赤阪村。還暦を過ぎた頃、生活の利便性の悪さや若者の流出を「何とかせなあかん」と思い立ち村長に。趣味はゴルフと旅行で、国内ではゴルフもできる沖縄・宮古島がお気に入り。

 〔村の自慢〕緑深い金剛山から流れる清らかな川と、その恵みを受けた田畑の景色。「風光明媚(めいび)とはまさにこのこと」。大阪を一望できる高台からの夜景は必見。

(了)

(2023年7月5日iJAMP配信)

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