2023/令和5年
104日 (

インタビュー 【トップインタビュー】健康寿命延伸へ地元大と連携=尾脇雅弥・鹿児島県垂水市長 2023/07/06 08:30

尾脇雅弥・鹿児島県垂水市長

 鹿児島県垂水市は大隅半島の錦江湾沿い、桜島を挟んで鹿児島市の対岸にある。今年1月に行われた市長選の投票率は74.1%に達し、県民から「選挙の街」とも言われる。4期目を迎えた尾脇雅弥市長(おわき・まさや=56)は住民の健康寿命を延ばすため、鹿児島大との連携に力を入れる。

 県が2月に発表した人口移動調査によると、垂水市の高齢化率は県内で3番目に高い。「100歳生きることはいいことだが、寝たきり20年では良くない」として、「たるみず元気プロジェクト」を2017年度から開始した。

 40歳以上の市民を対象に年1回、鹿児島大の医師らによる約2時間の健康診断を無料で受診できる。「元気で長生きできるような仕組みを作ろう」と考え、同大の教授と共に制度設計を行ってきた。

 市と鹿児島大は、こうした取り組みを20年間続ける方針だ。「ずっと続けることによって、(診断結果が)改善されて最終的には医療費の抑制にもつながる」と期待し、「垂水に住んで良かったと思っていただけるよう、専門的な視点を入れ込んで皆さんが元気で生活できるといい」と語る。

 また、桜島と鹿児島市を結ぶ「錦江湾横断道路」の実現に向け、市議時代から奔走してきた。県内では、鹿児島市がある薩摩半島から大隅半島へ渡るため、フェリーを使う県民が多い。「日常生活を考えると、海を渡るのは非常にハンディだ」と指摘し、半島をつなぐ道路の必要性を訴える。

 錦江湾横断道路構想は5歳のときに地元で交通事故に遭ったことが原点。「保育園のときに横断歩道を渡っていたらダンプカーが突っ込んできた」。目の前にいた友人は鹿児島市内の病院へ運ばれる前に亡くなったという。

 「桜島フェリー経由で運ばれたが、間に合わなかった」と振り返る。「今でも年間200~300台の救急車が船で渡るが、フェリーを待ちながら亡くなる命もある」と課題を挙げた。

 県は21年度に錦江湾横断道路を高規格道路としての役割が期待される「構想道路」に位置付けた。「できれば7~8年のうちにテープカットしたい」と語り、県や国との連携を図る意向だ。

 〔横顔〕同市出身。民間企業勤務や市議を経て11年に初当選。大学まで野球に励み、大学野球部の監督を志したこともあった。

 〔市の自慢〕観光拠点となる道の駅たるみず湯っ足り館、猿ケ城渓谷森の駅たるみず、道の駅たるみずはまびら。養殖カンパチは生産量日本一で輸出も盛ん。

(了)

(2023年7月6日iJAMP配信)

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