インタビュー 【トップインタビュー】ポテンシャルはまだある=浜田京介・沖縄県中城村長 2023/07/06 08:30

沖縄本島中部にあり、世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産・中城城をシンボルとする中城村。浜田京介村長(はまだ・けいすけ=60)は「観光、経済ともにポテンシャルはまだまだある。村の強みを生かしていきたい」と意気込む。
県都・那覇まで車で30分ほどのアクセスの良さで、ベッドタウンとしても人気だ。昨年、与那原バイパスが全線開通し、那覇へさらに行き来しやすくなった。1989年に約1万1500人だった人口は、今年5月末には約2万2500人と倍増した。「住宅の受け皿が豊富で、もっと増えていくだろう」と話す。
特に力を入れるのが子育て支援だ。15歳未満の若年人口(5月末時点)は18.6%で、全国的にも高い水準となっている。浜田村長は「これまでの子育て支援が実を結び始めている」と自負する。村は、県に先んじて2017年度から中学生までの医療費を無償化してきた。県が22年度から中学生までの外来受診費用の2分の1の補助を始めたことについては、「県が追随してきた形。これまで村が(独自に)出していた分を別の事業に投資できる」と評価する。
また、幼稚園、小学校などが密集する地区への病院の誘致に成功。それに合わせ、熱を出したり風邪を引いたりした子どもを病院に預けられる「病児保育」という仕組みも15年度に設けた。小学6年生までが対象で、体調不良の子どもを1人で留守番させられない共働き世代を支える狙い。「まちづくりの面からも子育て世代を支援したい」と語る。
観光にも力を入れ、世界遺産・中城城跡の活用に工夫を凝らしてきた。中庭でアーティストのライブを行うなどし、コロナ禍前には訪れた観光客数が15万人に達する年もあった。「文化遺産から観光資源へ、工夫をすることで伸ばしていきたい」と意気込む。
サトウキビ、島ニンジン、菊などが特産品。だが、産業としての農業は「兼業農家が多く、正直衰退していると言わざるを得ない」と指摘し、「支えていければ」と話す。一方で、住宅の受け皿をさらに増やすため、農用地区域の土地利用の選択肢を広げる必要性も訴える。
〔横顔〕趣味はゴルフと読書。歴史小説が好きで年に100冊近く読む。
〔村の自慢〕中城城と郷土の英雄・護佐丸。村内の高台から望む景色と夕日。
(了)
(2023年7月6日iJAMP配信)