インタビュー 【トップインタビュー】公民連携で高齢者の見守り強化=上浦登・大阪府豊能町長 2023/07/07 08:30

大阪府の北部に位置し、豊かな自然に恵まれた豊能町。2月の町長選で初当選した上浦登町長(うえうら・のぼる=63)は、町内で進む深刻な高齢化への対策として、医療や介護、福祉分野で民間事業者と連携した見守り体制の強化を急ぐ。「24時間対応の在宅サービスづくりへ支援を行う」と力を込め、安心のまちづくりを目指す。
昭和40年代(1965~74年)のベッドタウン化で転入者が急増した同町。5月末の高齢化率は48.8%で、「この先、高齢化が加速するのは明らか」と対応は待ったなしの状況だ。
そこで、町全体を施設と想定し、「道路は(施設の)廊下。ナースコールがあれば30分以内に自宅へ駆け付ける」という仕組みを提案。町内の医療機関や介護事業所など80カ所以上に協力を求め、在宅サービスの充実につなげたい考えだ。「小さな町だからこそできる」と自信を見せ、支援が必要な高齢者らを対象にした見守りシステムの構築に意欲を示す。
一方で、子どもへの投資も忘れない。5月議会では早速、中学校給食の無償化や保育所での使用済みおむつ回収など、子育て支援策に計約4500万円の補正予算を計上した。
ただ、町の財政は厳しい。人口減少と高齢化の進行で「税収は減り、支出では福祉や医療の割合が高い。特効薬はなく、このままではじり貧」と頭を抱える。
できる手だては支出の削減。町は東西にそれぞれ住宅地があり、分散する公共施設の再編、機能集約に乗り出す。基本指針を2024年度中に作成し、「インフラをコンパクト化して、次の世代に負担をかけない」と強調。さらに、特別職の給料カットを実施し、町長の退職手当も不支給とした。
町にはもう一つ大きな課題がある。四半世紀にわたり、ダイオキシン類を含む廃棄物の最終処分ができずにいることだ。「4年の任期中に処分を終える」と明言し、住民との話し合いを慎重に進める方針。「処分なくして、未来を語っても空虚な気がする。町が前に向かって進めるよう役目を果たす」と意気込む。
〔横顔〕1983年豊能町入り。総務部次長、保健福祉部長などを経て、社会福祉法人に勤務。地域政党「大阪維新の会」公認で町長選に出馬し、無投票で初当選。休日は自宅近くの畑でサツマイモやトマトなどを栽培。好きな言葉は「継続は力なり」「和をもって貴しとなす」。
〔町の自慢〕冬には雪が積もり、「四季が感じられる」のが魅力の一つ。オンとオフの切り替えがしやすいといい、「人生を謳歌(おうか)するなら、ぜひ豊能町へ」。
(了)
(2023年7月7日iJAMP配信)