インタビュー 【トップインタビュー】かじ取り役で恩返し=大塩英男・北海道白老町長 2023/07/10 08:30

「町民の声を聞いて、幸せを感じてもらえる町にしたい」と意気込むのは3月に初当選した北海道白老町の大塩英男町長(おおしお・ひでお=51)。10月には町内3地域で町長自らが町民と意見交換する「町長タウンミーティング」に乗り出す。29年間の町職員経験を生かし、「育ててもらった恩返し」として町政のかじ取り役を担う。
室蘭市出身。「白老町には海、山、川だけでなく、産業もあり、これからどれだけ発展していくのだろう」。そんな期待を抱いて1994年に町役場入り。税務課長や企画財政課長などを歴任した。「まさか自分が町長に立候補するとは思っていなかった」が、周囲の声に押され、前町長の辞職に伴う町長選への出馬を決断。新人同士の一騎打ちを制した。「町民目線を大切に、決断力を持って町づくりを進める」と誓う。
町長タウンミーティングで意見交換するのは大人を想定。人口減少や公共施設の老朽化など町の課題が山積する中、「自ら地域に出向き、町民や町内企業の人と話すことで、課題解決につなげたい」という。任期後半には、中学生から町づくりに関する提言をもらい、具体的な事業化につなげられるような制度の整備を目指す。
まず注力するのは子育て支援施策だ。「子育てしたいと思える環境をつくるのが行政の仕事」と強調。町長就任後に早速、子ども医療費の窓口負担無料化や来年1~3月に町内小中学校で給食費を無償化するのに必要な経費を予算に計上した。
町内に立地する国のアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」は12日に開業3周年を迎える。自身も町職員時代に周辺整備で奔走。宿泊施設の誘致や国道の拡幅、最寄り駅であるJR白老駅の南北をつなぐ自由通路の開設などに尽力した。
2022年度の観光入れ込み客数は220万人。「ウポポイがあることで、国内外から多くの人に訪れてもらえている」と手応えを感じる一方、「『単なる観光施設にしないでほしい』というアイヌの声も受け止め、アイヌ文化の素晴らしさの発信や若者への文化伝承も大切にしたい」と語る。コロナ禍の開業で出はなをくじかれたが、町内飲食店ではインバウンド向けの外国語表記メニューがあったり、民間のガイドセンターも設立されたりと「おもてなしの準備は万全」。町を挙げ、さらなる来町客を心待ちにしている。
〔横顔〕妻と中学1年生の長男の3人家族。趣味はラーメン店巡り。
〔町の自慢〕白老牛や虎杖浜のタラコなどおいしいものがたくさん。「ぜひ町内を周遊観光してほしい」。
(了)
(2023年7月10日iJAMP配信)