インタビュー 【トップインタビュー】10年後、憧れの街に=山田加奈子・東京都北区長 2023/07/14 08:30

桜の名所で知られる飛鳥山公園など豊かな自然があり、JRや東京メトロなど複数の鉄道が乗り入れ、交通の便も良い東京都北区。区議や都議を経験し、今年4月の区長選で初当選を果たした山田加奈子区長(やまだ・かなこ=52)は、「10年後、北区は憧れの街になる。その基礎をつくるのがこの4年間だと思っている」と力を込める。
就任後、最初に着手したのは区役所業務のデジタル化だ。すぐに自身への報告書類を電子化し、スケジュール管理もクラウドに移行した。窓口にタッチパネルを設置し、申請用紙への記入が不要な「書かない窓口」の導入も目指す。「デジタル化をすれば本来、人手が必要なところにより人を置ける」。窓口業務の職員を減らす一方で、子育て世帯の支援などを担当する部署に手厚く配置するという。
区内の古い商店街には電子決済を導入していない店が多い。「社会の流れに乗ることも必要だ。システム導入を伴走型で支援することが区のやるべきことであり、本質的な課題解決になる」と強調。区内の商店街などで使えるプレミアム付き商品券の電子化も検討しているという。
子育て支援については、「教育政策を充実させても、家庭環境が不安定な子どもは勉強に集中できない。子どもたちの生活環境を安定させるためには、家庭福祉や教育施策を一体的に取り組まなければならない」と語る。国や都の補助金を活用し、区の現状に合った支援策を打ち出すことを目指している。
議員時代を振り返り、「議会で聞く区の答弁は、現場で聞く区民の声とは乖離(かいり)している。行政と区民の間のギャップを埋める」。住民目線の行政に向け、庁内の組織改革を進める考えだ。
〔横顔〕実家は区内の商店街の電器店。趣味は旅行先で歴史的建造物を巡ること。歌手の玉置浩二の大ファンで、たびたびコンサートに足を運ぶ。
〔区の自慢〕実業家の渋沢栄一ゆかりの地で、歴史を感じさせる建物が数多く残る。「穏やかで人情味のある人が住む街」。
(了)
(2023年7月14日iJAMP配信)