インタビュー 【トップインタビュー】次の100年を見据えた市政運営=品川万里・福島県郡山市長 2023/07/24 08:30

2024年に市制施行100周年を迎える福島県郡山市。法人数県内1位を誇り県中地域の経済を支える一方で、少子高齢化への懸念は拭えない。3期10年を迎えた品川万里市長(しながわ・まさと=78)は、「われわれは次の100年を見据えた市政運営をする必要がある」と強調。「さまざまな分野で将来を予測ができる。今何をやるべきか逆算して考えなくてはいけない」として、デジタルトランスフォーメーション(DX)や子育て支援などに取り組む。
22年に「ベビーファースト運動」への参画を宣言した。「若い世代が子どもを持てるようにする上で重要なのは家計の安定」として、基本給アップを企業などに呼び掛けている。また「出勤時間が30分変われば、預かり先の選択肢も増える」として、フレックスタイムの積極的活用を提唱する。コロナ禍では、在宅での育児を選ぶ親が増えたことにも触れ「テレワークの導入も進んでいる。今後は、0~2歳児の在宅保育を手助けしたい」と意気込む。
市役所内の働き方改革も進める。「市民から『ずいぶん遅くまで電気がついている』との指摘あった。職員の定時退庁を強く奨励している」という。優先順位を見極めた仕事を意識することで、住民サービスに支障は出ていないと説明。「何でも『公務員だから我慢せよ』の時代は変わった。このままでは就職希望者は増えない」との危機感もあり、初任給増額も必要と考えている。
働き方改革の大きな柱はDXだ。テレワーク用のパソコンは職員数の約3分の1に当たる900台を配備。また、申請・届け出のオンライン化や会議資料のペーパーレス、デジタル会議の活用を推進する。「特に現在の窓口業務は対面出頭主義だ。『書かない』ではなく『行かない』窓口が理想」とし「デジタル市役所」を目指す。
「市職員も減る中、できるところからデジタル化することが、結果的に市民のためになる」と強調。「今後求められるのは訪問支援だ。職員全員がケースワーカーとなる時代が来る」と考えている。「SDGs(持続可能な開発目標)のSはサバイバルだと思っている。ここ10年、20年の対応を間違えてはいけない」と力を込めた。
〔横顔〕郵政官僚や法政大教授などを経て、13年4月から現職。勉強を兼ねてラジオ英会話を聞くのが最近の日課。
〔市の自慢〕どこでも音楽に触れられる町として、08年に「音楽都市」を宣言。近年は市内栽培の1等米「あさか舞」や「鯉食文化」のPRに注力。
(了)
(2023年7月24日iJAMP配信)