インタビュー 【トップインタビュー】九州南部の「勢いある町」に=藤木正幸・熊本県御船町長 2023/07/25 08:30

2023年4月に3期連続当選を果たした熊本県御船町の藤木正幸町長(ふじき・まさゆき=57)。これまでの2期は「熊本地震と新型コロナウイルス対応が中心だった」と振り返り、3期目を「夢を実現するための期」と位置付ける。九州南部を拠点にする企業を誘致し、雇用を生み「勢いのある町にする」と意気込みを語る。
16年の熊本地震では、町内約5000棟の住居が被災し、複数の土砂崩れが発生するなど、甚大な被害を受けた。インフラの復旧は一段落したが、今後の課題として重視するのは地域コミュニティーの維持だ。「町の平たん地区と中山間地域では事情が違う。維持するというのは現状維持ではだめだ」と強調する。今年7月には「まちづくり課」を新設し、空き家の利活用など、中山間地域の活性化に取り組む。「地域の事情の違いを見極めながら取り組みを進める。この4年は結果を出す年だ」と気を引き締める。
復興を進める一方で、企業誘致の強化にも乗り出す。主に鹿児島県、宮崎県、大分県を商圏とする中小企業を誘致したい考え。町は、九州のほぼ中心に位置し、町内には、東西南北を結ぶ三つのインターチェンジがある。交通のアクセスの良さを生かし、企業誘致を進め、「南九州の拠点として、勢いのある町にしたい」と話す。
町は、企業誘致を円滑に進めるため、全庁体制のプロジェクトチームで支援している。誘致を検討する企業に対して、要望する土地や条件などを聞き、各担当課間で共有。職員が土地を探し、企業に提案する「オーダーメード型の企業誘致」で迅速に対応する。
子育て世帯への支援の拡充も今期に取り組む政策の一つだ。町は今年、育児用品を購入できる商品券の支給対象を、第3子以降の0~2歳から3歳まで引き上げた。ただ、双子を含む6人の子どもを育てた自身の経験もあることから「継続的な支援が重要」と指摘する。支援対象年齢をさらに拡大し、育児支援の充実を図る。
総合計画に掲げる総合運動公園の整備は、今年度中に基本方針を策定する。「地域に住み続けてもらいたい。その一心です」と、子育て家庭が暮らしやすい環境整備を着実に進める。
〔横顔〕趣味は野球観戦。大学まで野球を続け、好きなポジションはキャッチャー。負けているチームも一発逆転を期待して応援するという。
〔町の自慢〕恐竜博物館。毎年10万人以上が来場する。「九州の子どもたちに、恐竜を中心に地層を学び、理系分野に興味をもってもらいたい」(町長)という。
(了)
(2023年7月25日iJAMP配信)