2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】子育て世帯の居場所をつくる=城戸陽二・新潟県妙高市長 2023/07/27 08:30

城戸陽二・新潟県妙高市長

 世界的なスキーリゾートとして知られる新潟県妙高市。昨年11月に就任した城戸陽二市長(きど・ようじ=56)は、人口減少に有効な対策は子育て世帯の居場所づくりと経済的支援の二つだとし、「子どもだけの居場所と親子で過ごせる居場所を考えないといけない」と強調する。

 市職員出身で前市長の政策継承を訴えて当選した。初めて取り組んだ今年度の予算編成について「1年目からやれることを盛り込ませてもらったと思う」と自信を見せる。公約のうち、中学校までの給食費完全無料化は今年4月から実施。産前・育児のワンストップ支援窓口は「スペースの問題があるが、実証をやってもらって来年度から立ち上げたい」考えだ。

 子育て世帯の居場所づくりについては「市長になってからさまざまな団体から話を聞く機会があった。建物の中でゲームでも勉強でも何をしてもいいのだけど、大人が子どもを見守ってくれる場所があるとありがたい、という話を聞いた」という。「子どもだけで集まる場所は徒歩か自転車で行ける距離にしないと意味がない」とする。市長選でも争点になった建設予定の新図書館はこうした子育て世代の居場所のほか、生涯学習の場としても活用する方針だ。

 「人口減少の問題はチャレンジあるのみ」とする一方で、「(人口が)減るのが避けられないなら、減ったときに(市のサービスとして)何ができるかが重要だ」との認識を示す。「今と同じサービスを提供しようとしたら、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)といった新しい技術を使わざるを得ないだろう」と分析する。

 ただ、デジタルトランスフォーメーション(DX)については、「ゴールが何なのか見えないといけない。市民生活を豊かにするために技術を入れないといけないし、妙高市が何を目指すのか自分自身でしっかり(目標を)持たなければいけないと思っている」と語る。

 妙高市は、信号が少なく起伏の多い地形から、駅伝選手の夏場の合宿地としても知られる。箱根駅伝での活躍で知られる青山学院大駅伝チームもその一つ。連携協定を結んでおり、ユニホームの胸に妙高市のロゴを付けて快走する選手の雄姿は市民の正月の楽しみだ。「『今年も元気をもらった』と東京に住んでいる市出身者からも手紙が来るんですよ」と笑顔を見せた。

 〔横顔〕1990年旧妙高高原町役場入り。合併後の妙高市危機管理室長、観光商工課長などを歴任した。妻と巡る国内の温泉旅行が趣味。内田康夫のミステリー小説を愛読する。

 〔市の自慢〕欧米の本格的なスキーヤーがわざわざやってくるほどの良質で豊富なパウダースノーが楽しめるスキー環境。

(了)

(2023年7月27日iJAMP配信)

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