インタビュー 【トップインタビュー】市民の誇りでまちづくり=枝広直幹・広島県福山市長 2023/07/31 08:30

2022年に築城400年を迎えた福山城が位置し、25年には世界バラ会議を控える広島県福山市。枝広直幹市長(えだひろ・なおき=67)は「福山城を引き続き市民の誇りにし、バラのまちづくりをこれからも受け継いでいく」と語る。
「築城400年事業は、これまでの市の発展の歩みを振り返る機会にしようと考えた」といい、17年から22年にかけて築城400年事業に注力してきた。ハード面では城内の樹木を伐採するなどの「令和の大普請」やライトアップ事業、ソフト面では市民が参加して盛り上げる市民企画事業などを展開した。
さらに事業の一環として、映画「バットマン」の舞台である「ゴッサム・シティ」と友好都市提携を結んだ。「これまでにない発想の取り組みで、全国の関心を呼んだ」と胸を張る。
6年間で180の事業が行われ、関連イベントなどには計約75万人が参加。経済効果は約98億円に上り、「大成功だった」と評価する。
「築城400年の取り組みを一過性のものにしたくない」という思いから、今は福山城の活用に尽力している。夜間の観光コンテンツとなる「ナイトタイムエコノミー」の一つとして、福山城に泊まれる「城泊」の実証実験を行い、24年度からの本格実施を目指す。
イベント開催も考えており、「年間を通して連続的に福山の良さを実感できるイベントを、それにふさわしい場所を使ってやりたい」と強調。「福山に行ってみたいというインバウンド(訪日客)の方も出てくるかもしれない」と期待を寄せる。
市では戦後からバラのまちづくりが行われ、「100万本のばらのまち」とも言われている。バラに関する話し合いを行う世界バラ会議の25年の開催地となったのは、「バラが復興と平和の象徴だという市民の思いが評価されたからだ」と分析。「バラと私たちは共に生きてきたんだということを世界の各国の人にメッセージとして送りたい。市民の誇りでもあるんだと」と意気込む。
バラ会議の期間中は40カ国から、国内外を含め約700人が市を訪れる予定で、「バラをテーマにいろいろな交流ができる機会になる」と指摘。「経済界産業界からしてみると、新たなビジネスチャンスが会議をきっかけに生まれる可能性がある」と期待を示す。
〔横顔〕趣味は旅行。47都道府県を制覇し、富士山も2回登ったことがあるという。
〔市の自慢〕デニム生産日本一など、大企業から中小企業まで立地し、「とっても活性力のある産業都市」。同時に「歴史も豊かだし、文化もとてもすてき」。
(了)
(2023年7月31日iJAMP配信)