2023/令和5年
925日 (

インタビュー 【トップインタビュー】人口減対策、カギは「稼ぐ力」=畑中政昭・大阪府高石市長 2023/08/02 08:30

畑中政昭・大阪府高石市長

 大阪府南部に位置し、関西国際空港や府中心部まで車や電車で約30分とアクセスが良い高石市。市の半分を住宅地が占める大阪のベッドタウンでありながら、約40年前からじわじわと人口が減り始め、最近になってその傾向が顕著になっている。今年4月に初当選した畑中政昭市長(はたなか・まさあき=42)は、市の「稼ぐ力」がカギだとし、「人口流出に歯止めをかけながら、人口減少に適応した自治体も目指す」と意気込む。

 市の人口は今年7月時点で5万6632人で、高齢化率は27%を超えた。1985年の国勢調査では6万6974人だったため、1万人近く減ったことになる。「人口の減少幅を少しでも緩やかにする」(畑中市長)との考えの下、まず着手したのは子育て世帯への支援だ。就任直後に今年度1~2学期分の小中学校給食費の無償化を決定した。今後、保育料無償化といったメニューを追加し、定住促進につなげることを目指す。「子どもたちが夢を目指して頑張っていけるまちをつくりたい」と話す。

 一方で、こうした対策を打ったとしても人口が減り続ける可能性も視野に入れる。「今のうちにどれだけ多く準備しておくかが重要だ」と強調。人材不足を見越した市役所業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)などに着手する。また、安定した財政運営を堅持するためには、「補助金に頼らず、必要な財源を自分たちで調達する考え方が必要だ」と指摘。市の内外から税収や事業資金を「稼げる」施策に力点を置く。

 具体的には、沿岸部の「堺泉北臨海工業地帯」の工場夜景や、美しい松林で知られる浜寺公園、周辺の運動施設といった、海辺の観光・レジャー施設のさらなる活用を目指す。スケートボード場が完成したばかりで、今年度はバスケットボール場の整備が予定されている。

 今後、宿泊施設やサウナなど、臨海部の開発を民間事業者と連携して行う考え。朝から夜まで過ごせるエリアを目指して、市外からの来訪者増加を狙う。さらに、こうした市の魅力を生かし、体験型のふるさと納税の返礼品開発にも着手する。

 畑中市長は地域政党「大阪維新の会」に所属。20年続いた前市長の行政改革は尊重しつつ、新たな手法を取り入れていく意向だ。「長期的な目標として経営者の視点やノウハウを持った職員を育てたい」と、市職員の意識改革にも心を砕く。

 活用されていない市内施設への民間企業誘致や財政調整基金の運用見直しなどを通じて財源を確保したい考えだ。市職員から斬新なアイデアが寄せられることに期待している。

 〔横顔〕市出身で市議を4期務めた。好きな言葉は「愚公移山」(たゆまぬ努力を続ければ、いつかは大きな事業も成し遂げ得る)。

 〔市の自慢〕堺泉北臨海工業地帯の工場夜景。自身で撮影会を開催したこともある。

(了)

(2023年8月2日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事