2023/令和5年
925日 (

インタビュー 【トップインタビュー】住民による自律的なまちづくり目指す=梅田修作・兵庫県上郡町長 2023/08/10 08:30

梅田修作・兵庫県上郡町長。右は町民らが厚紙などで作ったよろいかぶと。ふるさと納税の返礼品にもなっている。

 兵庫県南西部に位置し、中央に清流千種川が流れ周囲を山に囲まれた水と緑のまち上郡町。梅田修作(うめだ・しゅうさく=54)町長は「住民による自律的なまちづくりを目指したい」と話す。

 「すべての世代が愛着を持ち、住み続けられる町」の実現を掲げて町政を運営している。「外部目線で見ると住民には分からない魅力が分かる」と考え、2022年には早稲田大学人間科学学術院と「持続可能な地域づくりに関する連携協定」を締結。JR上郡駅に同院の研究チームの拠点を提供、担当の佐藤将之教授や学生との交流を通じ地域活動の活性化を後押ししている。住民自らが地域の課題に取り組む「上郡未来セッション」などの活動も充実し「手応えを感じている」という。

 「上郡町での活動が都市部には届いていない。情報発信に力を入れたい」と、地元出身のユーチューバーが運営する会社とも協定を結んだ。ユーチューブやインスタグラムなどを使い町の魅力を発信するなど、「若者を引き付ける情報発信」に力を入れている

 「有機農業を推進し、食育につなげたい」との思いから、有機農業を実践する農業者の組織化・団地化を推進。学校・園での給食に有機食材を利用したり、2、3歳児検診対象者全員に兵庫安心ブランド認定を受けた町産の米を配布したりするなど、有機農業を通じた子育て支援の充実を進めている。

 眼鏡型端末「スマートグラス」を活用した新規就農者支援にも取り組んでいる。新規就農者がスマートグラスを通じて、離れた場所にいる熟練農業者から指導を受けるほか、熟練者の視線を録画した動画の教材化により、効率的に農業技術が習得できるようにしている。

 〔横顔〕大学進学を機に町を離れ就職した後、Uターンして起業。商工会の青年部を40歳で卒部後、「地域を良くするためには学ぶ必要がある」と発起。11年に早稲田大学人間科学部通信教育課程(eスクール)に入学、同年の町議選補選で当選した。議員を務めながら同課程を卒業し、21年の町長選で初当選。

 〔町の自慢〕鎌倉幕府の倒幕や室町幕府の成立に大きく貢献した赤松円心や戊辰戦争で榎本武揚と共に函館五稜郭で戦った大鳥圭介が有名。また、町内ではモロヘイヤの栽培が盛んだ。

(了)

(2023年8月10日iJAMP配信)

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