インタビュー 【トップインタビュー】次の2年は「攻めの県政」=斎藤元彦・兵庫県知事 2023/08/14 08:30

8月で就任から2年がたった兵庫県の斎藤元彦知事(さいとう・もとひこ=45)。1期目の任期の折り返しを迎え、「後半の2年間は攻めの県政に一歩踏み出したい」と語る。実行したい重点施策として、若い世代への支援を強調。高校生や大学生、若い社会人らを念頭に、教育や結婚、子育てなどをテーマに総合的な支援を展開する考えだ。
斎藤知事はこの2年間を振り返り、資材価格の高騰などでコスト増加が懸念された県庁舎の建て替え計画を凍結したことや、海外事務所の整理統合を実行したことなどを挙げ「行財政改革をした2年でもあった」と語った。2023年度末の財政調整基金の残高は阪神大震災発生以来、29年ぶりに100億円以上確保できる見通しで「決算の状況も少しずつ改善し、財政構造改革が一歩ずつ進んでいる」と強調。こうした県財政の改善などを背景に、積極的に事業を展開する環境が整ったと説明する。
県が若者向けに展開する総合支援は「若者・Z世代応援パッケージ」と銘打って実施する。少子高齢化や人口減少は喫緊の課題だとし、3年間をめどに集中的に実施する見通し。すでに県は23年度以降の6年間で総額300億円を投じて県立学校の設備の充実化などを進めると発表。斎藤知事はこれに加え、近年の住宅価格の高騰で購入が難しい状況を踏まえ、県営住宅をリノベーションするなどして提供し、若い夫婦らの県内定住を促進する方針を示した。また、奨学金を抱える若い社会人への返済支援も拡充し、不妊治療へのサポートも力を入れるという。
斎藤知事は、大学卒業後の奨学金返済に悩む学生や若い社会人がいるとし「社会に出たり、子を産んだりする際のハードルになっている」と指摘。「兵庫で学び、働き、住み続けたいと思えるように、若者やZ世代への支援をこの2年で仕上げていきたい」と語った。
〔横顔〕東大経済学部卒。02年総務省に入省し、新潟県佐渡市、福島県飯舘村、宮城県、大阪府などで勤務した。「対話と現場主義」が信条で、県内各地に足を運ぶ。
〔県の自慢〕世界農業遺産に認定された「但馬牛」、酒米の王様「山田錦」など世界的な食のブランド。
(了)
(2023年8月14日iJAMP配信)