2023/令和5年
104日 (

インタビュー 【トップインタビュー】デジタルで職員も笑顔=辻直孝・北海道北見市長 2023/08/16 08:30

辻直孝・北海道北見市長

 カーリングの聖地、北海道北見市は自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)でも注目を集める。職員が要件を聞き取り、複数の手続きを一カ所で受け付ける「書かないワンストップ窓口」は同市から全国に広がった。2期目の辻直孝市長(つじ・なおたか=70)は自治体DXについて「デジタルを一つの手段として活用し、笑顔あふれる『まち』に変革していく。市民だけでなく、職員も笑顔になることを重視する」と話す。

 同じことを何度も書かせ、複数の部署を回らせる行政手続きは、住民と職員双方の負担だった。10年以上前に、北見市は窓口改革に着手。業務フローを見直した上で窓口業務支援システムを地元IT企業と共同開発し、書かないワンストップ窓口を実現した。住民票と印鑑証明の取得だけなら受け付けは2分で終わる。

 便利になったと評価する住民の声が職員の励みになり、それがさらなる改善の原動力となる「相乗効果」を生んだ。「職員の心と体に余裕がなければ、市民サービスの向上は難しい。効果的に業務に取り組めるようにすることが、結果的により多くの市民の笑顔につながる」と手応えを感じる。

 産官学のIT連携による地域振興にも注力しており、今年4月、経済産業省などが選定する「地域DX推進ラボ」(全国31地域)の一つにも選ばれた。

 北見市はDXの先進自治体だが、デジタル化による地域間格差を懸念する。「(DXで先を行く自治体が)ノウハウを提供し、自治体職員ならではの目線で互いに協力し、解決していく。そういったことが活発に行われるよう、これまで以上に国や自治体が共創していける場づくりや協力自治体へのインセンティブについて、国に検討いただければありがたい」。自らを「アナログ人間」と称するが、DX推進の決意は誰にも負けない。

 〔横顔〕朴訥(ぼくとつ)な人柄が持ち味。冬季五輪2大会連続メダル獲得の地元カーリング女子チーム「ロコ・ソラーレ」をこよなく愛する。ボディビル大会で鍛え上げた肉体を披露した藤沢五月選手の姿をTVで見て、思わず「五月ちゃん、どうしちゃったの」と絶句。

 〔市の自慢〕第1次産業が盛んで、北見地方の玉ねぎは日本一の生産量を誇る。北見市常呂は年間4万トンが水揚げされる「ホタテ王国」。カー女子の「もぐもぐタイム」で有名になったチーズケーキ「赤いサイロ」は、地元菓子メーカー「清月」の人気商品。

(了)

(2023年8月16日iJAMP配信)

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