インタビュー 【トップインタビュー】予算見直しで高校無償化に道筋=山下真・奈良県知事 2023/08/18 08:30

「奈良県政の改革という大仕事を達成すべく、やる気全開」と意気込みを語るのは、4月の奈良県知事選で初当選を果たした山下真知事(やました・まこと=55)。就任後は、約1カ月で2023年度当初予算のうち約73億5000万円の事業の見直しなどを発表。生み出した財源を活用し、私立を含めた高校授業料の無償化などに取り組む方針だ。
私立高校の授業料無償化について「親の経済力で行きたい学校に行けないというのは、その子の将来の可能性を摘むことになる」と主張。高校への進学が一般的になっている状況を踏まえ、自治体が教育の機会均等を支援する必要性を訴える。
さらに、隣県である大阪府や京都府に比べ授業料の支援額が少ない点に触れ「近隣府県との格差を解消して県民の不公平感をなくし、人口の流出を防ぎたい」と説明。その上で「金額や範囲は未定だが、来年度には何らかの形で授業料無償化を予算化する」と断言し、スピード感を持って授業料無償化を実行する考えだ。
一方、県の魅力度向上でも「セールスマンになってPRしなければならない。奈良県の持つポテンシャルを考えると、もう少し発展できるはず」と語る。産業分野に関しては、大阪や京都に近いという特性を生かし「生産拠点や物流拠点となる地理的条件を活用したい」と強調する。
観光面では「(奈良市にある)奈良公園に行って東大寺を見て日帰りで帰るのではなく、県南部なども足を運んで宿泊してもらう必要がある」と指摘。魅力的な宿泊施設の誘致などを通じ観光客の行動に変化をもたらすプロモーションを仕掛ける。
就任から今までを「県政の転換はうまくいっている」と振り返るものの、変革をさらに進めることが欠かせないという。「奈良のポテンシャルを生かし、観光客や企業などに県の魅力を発信し、交流人口や企業の生産高などを増やしたい」との展望を示した。
〔横顔〕マラソンが趣味。フルマラソンの自己ベストは4時間17分。好きな言葉は「なせば成る」。
〔県の自慢〕広大な山々に囲まれた自然や東大寺や法隆寺といった三つの世界遺産。「世界遺産のみならず、藤原京などの歴史的文化遺産も全国区にしたい」と語る。
(了)
(2023年8月18日iJAMP配信)