2023/令和5年
104日 (

インタビュー 【トップインタビュー】知名度上昇の「適度な田舎」=當眞淳・沖縄県宜野座村長 2023/09/05 08:30

當眞淳・沖縄県宜野座村長

 沖縄本島のほぼ中央部に位置し、「全国へそのまち協議会」にも加盟する沖縄県宜野座村。高速道路で那覇から50分ほどで、「やんばる(沖縄本島北部)の入り口」とも呼ばれる。當眞淳村長(とうま・あつし=51)は「都会にはないほのぼのとした雰囲気がある『適度な田舎』で、子育て世代も増え、活気のある村」とアピールする。

 東海岸沿いにあり、面積の51%をキャンプ・ハンセンなどの米軍施設が占める。人口は約6300人と多くはないが、微増を続けており、14歳以下の「年少人口割合」は本島南部の豊見城市、南風原町と共に県内トップ3の常連組だ。子育て世代が増えており、當眞村長は「学校給食や18歳までの医療費の無償化など子育て支援に力を入れている。雇用の場がある名護市やうるま市、(リゾートホテルの多い)恩納村にも近い」と背景を説明する。

 村内に有名な観光名所がなく、県内でも知名度は高くなかった。「学生時代は『宜野座ってどこにあるの?』と聞かれたり、(沖縄本島北部の)大宜味村と間違われたり。そういう状況を打破したいという思いがあった」。今では阪神タイガースの冬季キャンプ地として全国で知られ、2月のキャンプシーズンには月に10万人近い人が来訪するという。イチゴ狩りでも知られ始め、海岸沿いには高級リゾートホテルが点在している。

 2014年にオープンし、国土交通省の重点「道の駅」に指定された「道の駅ぎのざ」は18年にリニューアル。円形の特徴的な外観で、海を見渡せるカフェスペースや大型遊具、水遊び場を設置。タイガースファン垂涎(すいぜん)の限定グッズが並ぶショップもあり、「おかげさまでネットの道の駅ランキングで沖縄1位になった。以前は高速道路で通過されるだけの村という感じだったが、今は目的地の一つになっており、さらに活性化を図りたい」と意気込む。来年、県立農業大学が隣の名護市から移ってくるのも明るい材料だ。

 12年、当時の県内自治体首長として最年少の40歳で初当選した。「役場職員が20歳から60歳とすると、ちょうど真ん中。先輩方から意見を引き出しながら、話をまとめるように誘導していた」。現在3期目で、「私が言い過ぎると職員が発言しなくなる。ボトムアップになるよう、職員が自分たちで考える形に持っていきたい」と語る。「今回のコロナ対策では、ワクチン接種など全庁挙げて取り組み、一致団結して動くパワーを感じた。今後トラブルがあってもしっかりまとまっていけると実感している」と自信を見せた。

 〔横顔〕中学時代と40代に野球で県大会を制覇した。料理も得意でピザは生地から作る本格派。子供が小さかった頃はキャラ弁づくりにはまっていたそう。

 〔村の自慢〕都市部から近いのに自然が豊かな環境。「那覇から一番近いやんばる」とも呼ばれる。

(了)

(2023年9月5日iJAMP配信)

同一カテゴリー記事