2023/令和5年
104日 (

インタビュー 【トップインタビュー】人口減歯止めへ観光に力=伊藤浩亘・愛知県豊根村長 2023/09/07 08:30

伊藤浩亘・愛知県豊根村長

 手付かずの自然が残り、静かで落ち着いた雰囲気が広がる愛知県豊根村。観光客にも人気だが、人口は愛知県の市町村で最少で、2022年から1000人を下回っている。今年4月に就任した伊藤浩亘村長(いとう・ひろのぶ=63)は「人口を900人台で食い止めたい」と意気込む。

 村の人口は戦後の5000人台をピークに減少が続く。村は地域活性化に向け観光客の取り込みなどに力を入れるが、村にとって貴重な資源となっているのが北西部に位置する茶臼山。山の原生林は観光名所となっており、シバザクラが見ごろとなる5月には多くの観光客が訪れる。伊藤村長は「シバザクラ以外にも秋には紅葉、冬にはスキーといった魅力がある」と笑顔で話す。

 今は長野県や静岡県からの観光客が中心だが、リニア中央新幹線が開業すれば関東圏からの集客が期待できると考える。既存の観光商品の魅力向上を図り、「観光振興による交流人口100万人を目指したい」と力を込める。

 また、村の名産品として昨年からチョウザメ魚肉やキャビアの出荷を開始。チョウザメ魚肉は村内の飲食店などで提供しており、今後はキャビアも加える考え。「観光客には豊根に来て、豊根のキャビアを食べてほしい」とPRする。

 一方、村内にはコンビニや大きな病院がなく、「若い人には生活しづらいのではないか」。人口維持には生活基盤の改善が不可欠と考えており、「基本になるのは道路だと思う。交通の便が良くなれば解決する問題があるのではないか」と指摘。村は、近隣の5町村と連携し、国などに整備を働き掛けており、新東名高速道路の開通や三遠南信自動車道の整備などにつながった。近隣自治体との連携について「これまでも、これからも大事にしていきたい」と語った。

 〔横顔〕村の住民課長や副村長などを経て2023年4月の村長選で初当選。趣味はDIYで、自信作は廃棄予定の冷蔵庫を使用した犬小屋。

 〔村の自慢〕茶臼山の原生林、星空。

(了)

(2023年9月7日iJAMP配信)

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