2023/令和5年
104日 (

インタビュー 【トップインタビュー】未来につなぐ道、育てたい=山田司郎・宮城県名取市長 2023/09/15 08:30

山田司郎・宮城県名取市長

 東日本大震災からの復興を目的に環境省などが整備した自然歩道「みちのく潮風トレイル」が来年6月、全線開通から5年の節目を迎える。今年6月にはトレイルの活用や環境整備を目指し、沿線の4県29市町村が協議会を発足した。協議会の会長に就任した山田司郎市長(やまだ・しろう=60)は「復興の先にある東北の未来につなぐ道として育てていきたい」と抱負を語る。

 みちのく潮風トレイルは、青森県八戸市から福島県相馬市までを結ぶ全長約1000キロの自然歩道。「気軽に歩ける歩道もあれば、潮の満ち引きによっては通行できない道もある。地域ごとの人の暮らしに触れながら歩くこともできる」と魅力を語る。

 名取市内では2019年4月、東北地方環境事務所がトレイルの情報発信拠点として「名取トレイルセンター」を開設。ハイカーや地域住民が交流の場として活用しており、「バックパックを背負って歩く人の姿を市内でも見かけるようになった」という。

 協議会としては今後、トレイルを活用した沿線自治体ごとの取り組みを情報共有し、連携を図る考えだ。「4県29市町村の魅力を発信し、地域や観光の振興につなげたい」と力を込める。

 市では自転車を活用したまちづくりにも力を入れている。沿岸部には震災からの復興過程で、自転車通行帯や自転車の通る位置を示す「矢羽根」マークを整備。20年10月には津波で被災した自転車競技施設「サイクルスポーツセンター」の復旧工事が完了し、温泉機能付きの施設として生まれ変わった。

 今年度中には自転車の利活用に向け、推進計画の策定も進めている。基本方針には、自転車で市内を快適に周遊するための環境整備策として駐輪場の確保やシェアサイクルの導入などを念頭に置く。観光の切り口では、インバウンド需要を狙ったサイクルツアーの企画にも関心を寄せる。「市民の意識も変えていくような計画にしたい」と話す。

 市政運営では「聞く耳と対話」を基本姿勢として心掛けている。「行政だけがまちづくりをするのではなく、市民や企業、学校などがそれぞれの特色を生かし、共同で取り組んだほうがいいものができる」と語った。

 〔横顔〕趣味は山歩きとサイクリング。サイクリングでは年に1度、100キロライドの大会にも挑戦している。「自転車でしか見えない景色や気付きがある」という。

 〔市の自慢〕政令指定都市・仙台市に隣接し、東北の空の玄関口である仙台空港もある交通アクセスの良さ。

(了)

(2023年9月15日iJAMP配信)

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