インタビュー 【トップインタビュー】まちづくり、区民と一緒に=高際みゆき・東京都豊島区長 2023/09/19 08:30

池袋駅周辺の再開発が進む東京都豊島区。区初の女性区長となった高際みゆき区長(たかぎわ・みゆき=58)は「まちの人も、訪れる人も歩きたくなるまちにしたい」と意気込む。重視するのはまちづくりへの住民参画。若者や女性らの声も積極的に反映していく考えだ。
都職員から2020年に副区長に就任。今年4月の区長選で初当選した。副区長時代から感じているのが、まちづくりに対する区民の意識の高さだ。「まちの人々は今の池袋を一緒につくってきたという意識が強い。今後もイメージを共有しながら一緒につくっていきたい」と話す。
ただ、区が掲げる「オールとしま」を巡っては、選挙中に出会った若者や女性から、「オールに入った覚えはない」と指摘されることもしばしばあった。「今後はもっと、子どもや若者、女性など、これまで区政とつながりづらかった人の声を受け止めることが大切だ」と強調する。
区はこれまで、児童館2カ所を改装し、中高生のバンドの練習や勉強、悩み相談などに使える場として「中高生センタージャンプ」を開設。今年5月からは、不登校の未然防止に向け、放課後の居場所となる「にしまるーむ」を西池袋中に設置し、区が主体となって部活動に取り組む「としま土曜部活」も始めた。「今後は大学生などにも妹や弟たちの支援に参画してほしい」と話す。
区は、個性ある公園の開発や、「Hareza(ハレザ)池袋」など文化・芸術拠点の構築にも力を入れている。16年にリニューアルオープンした南池袋公園はカフェレストランを併設。「ウオーカブルなまちづくり」を合言葉に、公共空間のフル活用を目指す。「車いすの人も高齢者もベビーカー利用者も、誰もが気軽にまち歩きを楽しみたいと思えるまちこそが、住み続けたいと感じるまちだ」とほほ笑む。
池袋駅東口から立教大学までの約800メートルの「立教通り」の整備も進む。歩行者が多い一方で歩道の幅が狭く、「通行する児童を見ていて怖いこともあった」と話す。2車線の道路を一方通行の1車線にし、歩道の幅を広げる計画。防災の観点から無電柱化も行い、30年度に完成予定だ。
区は昨年、区制90周年を迎えた。今後は100周年に向け、「新たなまちづくりの指針を区民に示していきたい」と意気込む。
〔横顔〕趣味は海外一人旅。新型コロナウイルス感染拡大前はインドやネパールなどを訪れた。
〔区の自慢〕「トキワ荘」をはじめ、漫画・アニメ・コスプレなど文化の発信拠点。
(了)
(2023年9月19日iJAMP配信)