2023/令和5年
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行政ニュース 岸田首相「人間の尊厳」重視=平和へ新興・途上国と連帯―国連演説 2023/09/20 14:20

国連総会での一般討論演説に臨む岸田文雄首相=19日、米ニューヨーク(AFP時事)

 【ニューヨーク時事】岸田文雄首相は19日(日本時間20日)、米ニューヨークの国連本部で国連総会の一般討論演説を行った。国際社会が「人間の尊厳」重視に立ち返り、平和と安定を目指すべきだと訴えた。先進7カ国(G7)と中ロの分断が深まる中、世界の協調を呼び掛け、新興・途上国「グローバルサウス」との連帯も図った。

 首相はG7議長国、国連安全保障理事会の非常任理事国として登壇した。ロシアのウクライナ侵攻や気候変動、感染症を列挙し「世界は複合的な課題に直面している。国際社会が分断されていては対応できない」と危機感を表明。「人間の尊厳に改めて光を当てることで、体制や価値観の違いを乗り越えて『人間中心の国際協力』を進めていけるのではないか」と唱えた。

 昨年2月に始まったロシアの侵攻は終わりが見えず、食料危機やエネルギー価格高騰の影響は世界中に広がる。首相には国際社会で対立が続く中、「多くの国々に響き、否定もできない」(外務省関係者)キーワードを打ち出すことで協調への道筋を切り開く狙いがある。

 首相は「国際法は弱い立場の国のためにある」と指摘。「人間の尊厳を守り強化するため、脆弱(ぜいじゃく)な国・人々が共に生きる権利を『法の支配』で守りたい」とも述べた。

 安保理改革に向けても、協調を重視する考えを示した。常任理事国ロシアの拒否権行使が「分断・対立を悪化させる」と非難し、行使抑制を主張。グローバルサウスを念頭に、発展するアフリカに触れつつ、常任・非常任理事国双方の拡大を提唱。「具体的な行動に移る機会が今だ」と語った。

 核軍縮を「被爆地広島出身の私のライフワーク」と言明。「核兵器のない世界に向けて、先人の努力により主流化した流れを確実に進めていくことが必要だ」と強調した。

 核兵器の原料となる高濃縮ウランやプルトニウムなどの生産を禁じる核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉開始へ各国の関心を再び高め、「核兵器国を具体的な核軍縮措置に巻き込む」と誓った。ロシアに対し「核の威嚇をやめるべきだ」と要求した。 

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