2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】ラピダス進出、まちづくりの好循環に=横田隆一・北海道千歳市長 2023/09/28 08:30

横田隆一・北海道千歳市長

 次世代半導体の国産化を目指すラピダス(東京)の工場建設が始まった北海道千歳市。横田隆一市長(よこた・りゅういち=68)は「ラピダスの進出は最大のミッション。まちづくりの好循環につながるようにしたい」と意気込む。

 工場建設が表明された2月以降、市は準備に奔走。水道管の敷設などインフラ整備や、道外の半導体関連企業に対する進出意向調査のため、計約26億円を予算付けした。

 今月1日には起工式が行われ、「スタートラインに立てた」とほっとした様子を見せつつ、2025年4月の試作ライン稼働に向け「短期勝負だ。受け入れ環境の整備や人材育成などに対応できるよう速度を上げて取り組む」と気を引き締める。「市民にも『ラピダスが来てよかった』と思ってもらえるようにしたい」と話し、国や道に対して「計画的に進めるために必要な支援を求める」と力を込めた。

 工場作業員の住居確保や、関連産業の企業立地を巡っては周辺自治体との連携が必要になると見込む。道が7月に立ち上げた札幌市や苫小牧市、石狩市など22自治体から成る連携組織で情報共有しながら準備を進める構えだ。「各自治体の特性がある。一緒になって取り組みたい」。ラピダスが目指す、工場を中心に苫小牧から石狩にかけた一帯をデジタル産業の集積地とする「北海道バレー構想」の実現に期待を寄せる。

 市内に立地する新千歳空港の利用客は新型コロナウイルス禍から回復傾向にある。飛行機の搭乗前後に空港内のホテルに泊まる人も多いといい、「滞在の楽しみなど活用方策をPRしていきたい」。一方、保安検査員や地上業務「グランドハンドリング」などの人材確保は喫緊の課題。人材確保支援に向けた関連経費が国の24年度予算概算要求に盛り込まれ、「まずはよかった。年末の予算化につながるよう引き続きお願いする」と語る。市も地元就職を支援するため空港の仕事を知ってもらう事業を行っていく。

 5期20年務めた山口幸太郎前市長の下で副市長などを務め、4月にバトンを受け継いだ。コロナ禍で「市民が安心して生活する基盤となる医療や福祉の充実をさらに進めたい」との思いを強くしたといい、高齢者施設などへの訪問を続ける。「積極的に出向き、話を聞く中で現状を知りたい」。職員時代からの現場重視の姿勢を貫く。

 〔横顔〕1978年入庁。今年7月には公務などを記録する公式インスタグラムを始めた。「試行錯誤しながらやっていきたい」。

 〔市の自慢〕活発な人の動き。「市民や事業者による活動が、まちの発展につながっている」。

(了)

(2023年9月28日iJAMP配信)

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