2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】ホテルマンの経験をふるさとのために=田辺正幸・新潟県五泉市長 2023/09/27 08:30

田辺正幸・新潟県五泉市長

 豊富な地下水の自然の恵みが育むボタンやチューリップなどの花卉(かき)栽培で知られる新潟県五泉市の田辺正幸市長(たなべ・まさゆき=55)は元ホテルマンという異色の肩書を持つ。「おもてなしサービスの一番を目指すのは行政のはず」とさまざまな改革を実行中だ。

 西武グループのプリンスホテルで本部営業部長などを務めた後、昨年1月、出身地である同市で行われた市長選で初当選。「もともと、ふるさとに貢献したい、戻って力を尽くしたいという思いはあって、ホテルマン時代もJRとの橋渡し役などで市とつながりがあった」。その思いが現実になるきっかけとなったのは新型コロナウイルスの感染拡大だった。「働き方を含めて社会に大きな変化が起きる中で、外にいた人間がいろいろやれば、活性化できると考えた」と振り返る。

 新型コロナを経て「行政と市民の距離が広がった」とも語る。山間部の市民向け乗り合いタクシーの利便性向上や、市職員が市民と直接交流する移動図書館の立ち上げといった新規施策に取り組むほか、市役所1階ロビーを休憩できる市民コーナーとして開放。市役所を身近に感じてもらうための方策を推進中だ。

 元ホテルマンの経験から「われわれが出向いてコミュニケーションすることが必要。市は市民のいろいろな話を聞いて、次にどうするかを考えるチャンスにできるのではないか」と思いを巡らせる。

 定例記者会見も、以前は年3~4回しか開いていなかったが、毎月開催に変更。会見の場所も市交流施設や食育を実践する小学校、市運動施設など、市役所の会議室から飛び出した。「市もいろいろと情報発信しているんだなと市民に分かってもらえるし、市職員は自分の仕事をPRするチャンスになる。市民のニーズが変われば施策も変わる」と強調する。

 「職員には市民が来たら『こんにちは』『おはようございます』と声を掛けるよう言っている。そうやって声を掛けられて悪い印象を持つ人はいない。そこは行政の場でもホテルの接客でも同じだと思う」

 〔横顔〕日本百名山のうち51の山を登頂し、新潟では火打山、妙高山を登頂。趣味は映画鑑賞。特に映画007シリーズで「(生年が同じの)ダニエル・クレイグのボンドが一番かっこいいね」

 〔市の自慢〕水道の蛇口をひねるとミネラルウオーターが出てくると言ってもいい豊富な地下水などきれいな水。

(了)

(2023年9月27日iJAMP配信)

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