インタビュー 【トップインタビュー】創建1300年、「市民活動の源泉に」=深谷晃祐・宮城県多賀城市長 2023/09/29 08:30

724年に東北地方を支配するための国府(国の役所)が置かれ創建してから来年で1300年を迎える宮城県多賀城市。記念事業の実施や準備が進む中、深谷晃祐市長(ふかや・こうすけ=43)は「市民運動、市民活動の源泉になる1300年にしたい」と語る。
記念コンサートや多賀城の歴史を取り上げるオペラ制作など多彩な事業が予定されている中、目玉は国の特別史跡「多賀城跡」の正門に当たる「南門」の復元事業だ。「実際に出来てくると、市のシンボルになってきている。自分たちが南門を使って何ができるかということを考えるきっかけをもらえた」と話し、今後南門を使ったイベントの開催を検討している。
多くの事業を計画するが、主役となる市民や市内の地元企業が自発的に参加することを期待する。「行政が決めるのは骨組みだけで、肉付けをしていくのは参加する市民。行政はどこまでいってもきっかけ作りしかできない」ためだ。
市政では「デジタル化の最大の恩恵は、災害が起きたときに命が守られることだ」として、防災分野を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)にも取り組んできた。無料通話アプリ「LINE」で市の公式アカウントを作成し、地域でのイベント情報のほか、避難所の開設など災害時の情報発信にも力を入れる。人口約6万2000人の同市で、アカウント利用者数は1万7000人を超えた。
「東日本大震災のとき、避難所や給水の情報は命に直結していた。災害が起きる前に備えていないといけないことはたくさんあるが、中でも情報だ」と強調する。「災害時にLINEで給水情報、炊き出し情報を取得できるので、それを知れなくて不安な夜を過ごすことはない。いざというときのために日頃から情報を受け止めてもらえるようにしたい」と話した。
〔横顔〕「他人の幸せが自分の幸せ」がモットー。多忙で余暇が取れていないというが、1日休みがあれば温泉やサウナでリフレッシュしたいという。
〔市の自慢〕紫色に輝く「古代米」が特産。ミネラルやビタミンなどを含む健康食材として人気で、酒やベーグルをはじめとする商品開発が進められている。
(了)
(2023年9月29日iJAMP配信)