インタビュー 【トップインタビュー】むつ・下北が新しい時代をけん引=山本知也・青森県むつ市長 2023/10/03 08:30

本州最北端の下北半島に位置する青森県むつ市。4月の市長選で初当選した山本知也市長(やまもと・ともや=40)は、「下北、むつ市から新しい時代をつくり、けん引していく。失敗することを恐れていると前に進めなくなる。新しいことをするだけだ」と強調する。
4年間の任期で特に力を入れたいことに子ども政策を挙げる。こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」の実現に賛同し、7月に「こどもまんなか宣言」を県内で初めて実施。政策面でも給食費や保育料の無償化、多子世帯への支援を例に挙げ、「今までやってきた事業をやめてでも力を入れなければいけない」と、子育て世帯の負担軽減に取り組む考えを示す。
市でも全国と同様に人口減少が大きな課題だ。2010年に498人だった出生数は19年に304人、22年は225人まで減少。「生産年齢人口が減り、労働力も不足していて地域の力が減る。子どもたちがいなくなったら地域がなくなる」と強い危機感を抱く。
子ども重視の姿勢の表れとして取り組むのが、「子どもオンブズパーソン(子どもの権利擁護機関)」の設置だ。23年度中に関連条例を制定する方針で、子ども人権擁護委員に弁護士らを選任することを想定している。
「子どもは18歳まで選挙権もなければ自分の声を反映させる仕組みがない。公園を造るにも親の意見が反映され、1回フィルターがかかる」と指摘。「ゼロ歳から100歳まで人権は一緒だ。子どもの意見をちゃんと政策に反映させる仕組みをつくる」と強調する。
市職員として12年近く勤務し、うち1年8カ月は宮下宗一郎前市長(現青森県知事)の秘書を務めた経験がある。宮下氏の後を継ぐ形となったが、プレッシャーは「正直ない」と話す。
これまでの市と県の関係は「ぶつかっていた時の方が多かった」が、自身と宮下氏の就任後は「県と一緒にタッグを組んだ市政になっている」と説明する。「(市が)やりたかったのにはじき飛ばされていたことが、前進する可能性の方が高い」と意気込む。
〔横顔〕高校時代から髪の毛は美容師の妻に切ってもらう。高齢者と接する機会が多いため、若者の興味を学ぼうと、アニメ「【推しの子】」も見る。
〔市の自慢〕自衛隊や電力などビジネス関係者が多いことから「人口の割には飲み屋さんが多い」
(了)
(2023年10月3日iJAMP配信)