インタビュー 【トップインタビュー】声聴き、ニーズに合う政策を=小川ひろみ・宮城県大衡村長 2023/10/04 08:30

「足を運んで皆さんの声を聴きたい」と語るのは、宮城県大衡村の小川ひろみ村長(おがわ・ひろみ=60)。ニーズに合った政策が重要との考えから、村民の声を大切にしている。5歳から96歳まで幅広い年代から届いた「村長への手紙」を手掛かりに、必要な取り組みを日々考えている。
注力している政策の一つは子育て支援。3人の子育てをしてきた自らの経験を生かし、4月の就任後に早速、庁舎内への授乳室設置を予算に組み込んだ。村議時代から提起してきたもので、「支援の充実を訴えることで、住む場所として大衡村を選ぶ人が増えてほしい」と期待する。
住む人の定着に向けて、起業や創業を支援する重要性も感じている。地域おこし協力隊の力を借りるなどして、「村民だけでなく、外から来た人も大切にして、『交流人口』を増やしたい」と強調。村外出身者の受け入れがきちんとできる、温かい雰囲気のまちづくりで若者に選ばれることを目指す。
村の基幹産業である農業支援にも力を入れる。「他の自治体に負けない」と語る村の農業支援のうち、例えば災害復旧支援事業では資材の購入やリース代金の8割を補助するなど手厚い。充実した支援を通して、担い手を確実に増やそうと試みている。
そんな中、高齢化や人口減少を見据えて農業の持続可能性をどう高めていくかが問われる。「今以上にきちんと一人ひとりの声を聴いた中で村の農業を守る仕組みをつくらないといけない」と指摘する。
まずは、若い世代にもっと農業を知ってもらおうと、小学校の授業で体験を行う「農業科」の導入を目指している。今は、シイタケを原木から育てる取り組みが行われている。指導者は地域の農家の人たちで、子どもとの交流は仕事をする上での生きがいにもなっている。今後は、全学年参加による米や野菜の収穫祭も構想している。
〔横顔〕村の教育委員や副議長を歴任。趣味は温泉と近所の子どもたちと一緒に行うジョギング。ジョギングがきっかけで地域の住民との関わりができたという。
〔村の自慢〕人がみんな温かく一人ひとりに気配りでき、コミュニティーの大切さが分かっていて助け合いができるところ。
(了)
(2023年10月4日iJAMP配信)