2023/令和5年
126日 (

インタビュー 【トップインタビュー】「友達から学ぶ」市政を=関厚・秋田県鹿角市長 2023/10/04 08:30

関厚・秋田県鹿角市長

 経済産業省の「近代化産業遺産」に認定されている尾去沢鉱山がある秋田県鹿角市。県の北東に位置し青森県や岩手県と接していることから、関厚市長(せき・あつし=69)は県境をまたいだ自治体連携に力を入れており、「『友達から学ぶ』という考え方が大事だ」と話す。

 出張には職員を積極的に同行させる。「市長が外部で何をしているかを実際に見て知ることは、職員のキャパシティーを広げることにつながる」と意義を強調。自治大学校や県の自治研修所にも職員を積極的に派遣し、「他の自治体の職員と交流して、取り組みを知ることも重要だ」と説く。

 新型コロナウイルスのワクチン接種では小坂町や大館市とワクチンの共同管理や在庫の融通を行った。「普段から情報を共有していれば、さまざまな分野で連携できる」とうなずく。

 喫緊の課題となっているのが医療提供体制の確保だ。産婦人科は市内の病院では分娩(ぶんべん)機能の停止が続く。妊婦健診の体制も維持できない可能性があったことから、県北部の拠点病院である大館市立総合病院のほか、岩手医科大学や弘前大学に医師の派遣を要請したところ、協力を取り付けた。

 市は、尾去沢鉱山に電力を供給するため小水力発電所が多く設置されるなど、再生可能エネルギーに恵まれた地域。千葉大学などが行った調査の結果によると、2021年の電力自給率は388.3%と全国の市でトップだった。市は温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を30年までに達成すると宣言しており、23年3月には実行計画を策定した。「高い自給率のインパクトを全国に発信していきたい」と語った。

〔横顔〕林野庁職員などを経て21年7月に就任。目測で木の高さを当てることができるという。趣味は百人一首。

〔市の自慢〕郷土料理のきりたんぽが名物。八幡平山頂付近にある鏡沼が、雪解け時に竜の目のように見える「八幡平ドラゴンアイ」として知られている。

(了)

(2023年10月4日iJAMP配信)

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