インタビュー 【トップインタビュー】SDGsをまちづくりの柱に=粟貴章・石川県野々市市長 2023/10/05 08:30

学生が多く住み22歳までの人口が全体の4分の1以上を占める石川県野々市市。経済誌の「住みよさランキング2023」では2年ぶりに全国総合トップに返り咲き、子育て世帯数も増加傾向にある。4月に無投票で5選を果たした粟貴章市長(あわ・たかあき=63)は、若い世代が多い市の特徴を背景に、地域の将来も左右するSDGs(持続可能な開発目標)をまちづくりの柱の一つとして推進している。
粟市長はSDGsの推進について「できるだけ多くの市民に関わってもらうことが大事だ」と指摘する。以前から市民と行政が協力して進める「市民協働のまちづくり」を掲げており、SDGsの取り組みは「これまでの延長線上で行える。市民一人一人ができることを実践してもらえれば」と考える。
市のSDGs推進の特徴は、楽しみながら理解を深められるようゲームを活用している点だ。市にメインキャンパスのある金沢工業大が開発したSDGs達成のアイデアを盛り込んだアクションカードゲームや、市内のベンチャー企業のゲーム教材を小学校の授業、市民イベントなどで使用。昨年度は、市の若手職員や大学生ら若い世代が中心となり、SDGsに関わる取り組みを市の地図に描いた「ののいちSDGsアクションマップ」も作成した。
今年度は、市の魅力や課題を取り入れたオリジナルの「SDGsアクションカードゲーム」を作成する計画で、市民からアイデアを募集している。粟市長はこうした取り組みを通じ「若い人たちのニーズ、考え方がより分かるようになってきた。われわれにはない発想やアイデアがあり、非常に参考になる」と語る。
今年5月には内閣府のSDGs未来都市と自治体SDGsモデル事業に選ばれた。モデル事業の具体的な制度設計はこれからだが、ワークショップへの参加などに応じたSDGsスキルをデジタルで証明する「オープンバッジ制度」を導入し、市民の行動意欲を高めていく計画だ。
粟市長は「市民はSDGsを身近なものとして、何かしらの取り組みを行っているように感じている」と手応えを語る。「SDGsはまちづくりの教科書、バイブル」と捉え、これからもまちづくりに積極的に取り入れていく考えだ。
〔横顔〕特定の趣味はないが、何にでもチャレンジしたくなる性格という。最近は「1日1万歩」を目標にウオーキングに励む。
〔市の自慢〕元気があり、さまざまな場所で活躍する市民。
(了)
(2023年10月5日iJAMP配信)