インタビュー 【トップインタビュー】管理職の女性比率4~6割に=佐藤有美・愛知県長久手市長 2023/10/19 08:30

市民の平均年齢が40.2歳で「日本一若いまち」(2020年時点)として知られる愛知県長久手市。8月に初当選した佐藤有美市長(さとう・ゆみ=45)は県内初の女性首長となった。「全国的にも女性首長はまだ少ない。そこに私が入ることによって、男女問わず市長や管理職に就ける世の中になってほしい」と力を込める。
庁内では管理職への女性登用や、市の審議会で女性の参加が増えるよう後押しする。女性職員が部長職への昇進を辞退する事例があったことから職員の意識改革も不可欠だと指摘した上で「男女比率はバランスが重要。管理職における女性比率は4~6割くらいが目標だ」と意気込んだ。
名古屋市へのアクセスが良い長久手市はベッドタウンとして注目を集め、人口は10年前から約1万人伸びている。約6万1000人のうち、15歳未満は17.4%、15歳以上65歳未満が65.4%で、子育て世帯が多いという。「自分が子育てした経験を生かしながら、子育て世帯への支援に力を入れたい」と語る。
最優先に取り組むのは、18歳までの子どもの医療費無償化と、帯状疱疹(ほうしん)のワクチン接種費用の助成事業だ。来年度の当初予算に盛り込む方針を明かし、「議員時代に市民からの要望の多かった施策だ。準備が整い次第事業を開始する」と強調。75歳以上を対象にした、市内を循環するコミュニティーバスの運賃無償化も目指しており、バス運営事業社などで構成する審議会と調整した上で実施する見通し。
市役所本庁舎の建て替えも急務だ。本庁舎は1967年に完成してから50年以上経過している。設備の老朽化に加え、市職員増加に伴って手狭になっているといい、数年前から新庁舎整備の計画について議論されてきた。「今の状態だと大規模な地震が来たら本庁舎はおそらく使い物にならない」と指摘し、災害時には防災拠点となる市役所の建て替えの必要性を訴える。また、主要駅からのアクセスが悪い本庁舎を移転することも検討しているという。「将来の人口減少を見据え、(名古屋市や豊田市へとつながるリニアモーターカー)リニモの沿線に都市機能を集中させるべきだ」との考えを示した。
〔横顔〕名古屋市出身で南山大学を卒業後、損保ジャパンに入社。11年に長久手町(当時)議会議員に初当選。23年8月までの4期13年間、町議と市議を務めた。趣味は運動とフラワーアレンジメント。
〔市の自慢〕豪華に飾った馬を鉄砲隊などが警護して市内を練り歩き、火縄銃を発砲する「警固祭り」。県指定無形民俗文化財でもある。
(了)
(2023年10月19日iJAMP配信)