インタビュー 【トップインタビュー】県最少人口を強みに、地域通貨カード活用=橋本博明・広島県安芸太田町長 2023/10/31 08:30

広島県の4市3町にまたがる1級河川、太田川の上流部、県西北に位置する安芸太田町。9月末時点の人口は県内最少の5586人で、高齢化率は52.2%だ。2020年5月に就任した橋本博明町長(はしもと・ひろあき=53)は初当選後の所信表明で「広島県一小さく、高齢化率が高く、経常収支比率が高い。まさに過疎化の最先端に位置するわが町だからこそ可能性に満ちている」と訴えた。以来、過疎化の歯止めに全力を注いでいる。
同町の少ない人口や過疎化を逆手に取った施策が、昨年12月に導入した地域通貨カード「morica(もりか)」の活用だ。町民が現金をカードにチャージすると、2%分のプレミアム加算が付く。町民所有率は驚異の100%。「大都市ではとてもこういう取り組みはできない。うちは人口が少ないからこそ全町民に導入できた」と強調する。
もりか導入の目的は、町内での積極的な消費を町民に促すことだ。また国からの各種交付金なども、もりかで支給すると事務作業や経費負担が大幅に抑えられる。「普通に(交付金を)配ると町外で使われることもある。今後も恒常的な交付事業には、もりかを使う」とし、生活支援の要素が強い給付には適用していく考えだ。
もりかの利用状況については「スーパーでの買い物が一番多く、8割ぐらい。あとの1割が定額タクシーで、残り1割がその他」という。店舗以外での活用にも注力していく方針だ。「これからポイントを付けられるようになる。町のいろんな施策に協力したり、健康づくりの取り組みに参加したり、ボランティア活動したらポイントを付与するという使い方ができる」とアイデアの一端を披露した。
任期満了に伴う次期町長選(24年5月告示)への再選出馬も9月議会で既に表明した。「これまで、もりかのような必要な種まきはやってきたが、まだまだ成果が出ていない。ぜひ次も任せてもらい、少しでも成果を出したい」と意気込んだ。
〔横顔〕19年の参院広島選挙区を巡る大規模買収事件をめぐり、前町長が辞職。それに伴う20年5月の町長選で初当選した。広島市安佐南区出身。妻と3人息子がいる。趣味はバーベキューと林業。山中を進み自分で木を間伐しながら開拓していくことには「魅力がある」。
〔町の自慢〕県最高峰の恐羅漢山(おそらかんざん)、景勝地の三段峡(さんだんきょう)などの豊かな自然。「引き続き、美しいきれいな水を維持して、町として『心と体の癒やし担当』の役割を目指していく」
(了)
(2023年10月31日iJAMP配信)