インタビュー 【トップインタビュー】宝持つ島として発展を=坂栄一秀・島根県西ノ島町長 2023/11/01 08:30

世界的に貴重な地質や地形がある「世界ジオパーク」に認定されている隠岐諸島の一つ、西ノ島に位置する島根県西ノ島町。今年2月に就任した坂栄一秀町長(さかえ・かずひで=64)は、同町にある県内随一の景勝地、国賀海岸について「ジオパーク最大の見どころ」と自負する。「素晴らしい宝を持っている島として、これからも発展できるよう町政運営に取り組みたい」と意気込む。
町長就任後、住民と意見交換を重ね、「この島で暮らしたい」「この島が好き」といった声を改めて聞いた。一方で、人口減少により地域の伝統行事などでの担い手不足を訴える意見もあり、「若者を巻き込んで、地域の活力を取り戻す必要がある」と語る。
「高校を卒業したら本土へ、というのは離島の宿命」と認識し、「UIターンに力を入れないといけない」と気を引き締める。隣町の同県海士町が積極的に人を呼び込む施策を展開していることを受け、「隠岐地域全体で注目してもらっているこの流れを大きく強いものにする。ここで頑張らないといけない」と強調する。
西ノ島町では、移住者向けの引っ越し費用助成や、新卒者を雇用する事業者に対する補助金制度といった支援策を講じている。「必要な施策をタイムリーに打つのが大事」として、「これからも実際に住んでいる人の声を聞きながら、制度を見直していく」構えだ。
発信力の強化も課題と捉え、「見どころがあるのに知られていないと言われる。若者に届くような情報発信をしないといけない」との考えを示す。例えば、国賀海岸にある摩天崖(まてんがい)は「(東京都港区の)虎ノ門ヒルズ森タワーとほぼ同じ高さの崖が自然に存在している。具体的にアピールすることで想像しやすくなる」と力説する。
今年4月には町内にテレワークオフィスがオープンし、IT企業などが入居している。「町全体のデジタル化に向けたサポートなどで関わってもらえたら」と期待する。町内事業者については、「まだ現金払いのみのところが多い」と苦笑い。都市部から来た観光客に対応するためにも「キャッシュレス化を進めたい」と話し、「デジタル人材を呼び込みたい」と意欲を示す。
〔横顔〕島根県職員や国会議員秘書などを経て、今年2月に初当選。「約50年ぶりにUターンした」と笑う。休日は町民の1人として、土曜朝市などのイベントに顔を出す。
〔町の自慢〕国賀海岸をはじめとする「見てもらえば説明がいらない絶景が待っている」こと。
(了)
(2023年11月1日iJAMP配信)