2023/令和5年
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インタビュー 【トップインタビュー】維新首長と「共創」で次の成長を=野田義和・大阪府東大阪市長 2023/11/06 08:30

野田義和・大阪府東大阪市長

 この9月に5選を果たした大阪府東大阪市の野田義和市長(のだ・よしかず=66)。4期16年貫いた無所属の立場を翻し、地域政党「大阪維新の会」公認市長としての任期をスタートさせた。「これからは都市と都市が共につくり上げるまさに共創時代。東大阪の次の成長を考えると大阪府・市との共創が必要だ」と述べ、吉村洋文知事ら維新首長との連携強化にかじを切る。

 これまで自民、公明両党の支援を受け、安定的な市政運営を続けてきた野田氏。職員数の削減など行政改革に着手し、市債残高を564億円削減し、財政調整基金は162億円積み増した。2019年には市の花園ラグビー場でラグビーワールドカップの試合を実現。「行政能力が上がり、都市の格も上がった。結果として住民サービスの向上も成し遂げることができた」と振り返る。

 5選を目指すタイミングで維新に「転身」。市長選では2位に大差を付けて勝利した一方で、無効票は前回の2倍以上の8.40%に上る。投票先を失った多くの有権者が白票を投じたとみられる。野田氏は、これまで無所属だったことを強調しつつ、「(所属する)政党をかえたわけではないことを伝え切れなかったところは率直に反省する」と釈明。「正しい判断だったと思ってもらえるように結果を出さなければいけない」と気を引き締める。

 維新合流の理由については、近隣市との連携強化を目的とした「政治的判断」だと説明。大阪では、吉村氏や横山英幸大阪市長ら府内自治体の約半数が維新首長で、「同じ政治集団でやる方が東大阪の発展につながる」と話す。

 都市間連携の具体例として挙げるのが、地元企業のサポートだ。製造業が盛んで「ものづくりのまち」として知られる東大阪市。大阪府・市が共同で設立した「大阪産業技術研究所」や大阪公立大学と協力することで、中小企業の技術力向上につなげたい考えだ。「販路拡大という意味でも大阪市や堺市はボリューム感がある。そういうところの協力も今まで以上にできるので、働き掛けをしていきたい」と意気込む。

 かねて「東京に対峙(たいじ)する大阪」の実現を信条とする。背景には、東京一極集中化への危機感がある。野田氏は、府内のラグビー強豪校を卒業する高校生の多くが東京の大学に進学することを例に挙げ、「『東京に行った方が就職で有利だ』(という印象)を払拭しないといけない」と話す。

 「『東大阪』というだけで分かるようにブランディングする。東大阪に憧れをつくっていかないといけない」。地元のものづくり企業が魅力的な就職先になるよう、地盤沈下が続いた大阪の産業を再興するよう力を尽くす。

 〔横顔〕趣味は読書や仕事終わりのウオーキング。市長選の前には、官房長官などを歴任した与謝野馨氏の著書「全身がん政治家」を読み返したという。

 〔市の魅力〕「ちゃんこ鍋」のような雑多な魅力が集まるまち。住宅街や工場、大学が集中しており、「いろんなものが集まり栄養豊富」。

(了)

(2023年11月6日iJAMP配信)

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