インタビュー 【トップインタビュー】自分たちの「町」だと思えるまちづくりを=久留米啓史・和歌山県日高川町長 2023/11/07 08:30

和歌山県の中央に位置し、紀州備長炭の生産量日本一を誇る、和歌山県日高川町。2期目の久留米啓史町長(くるめ・ひろふみ=67)は「自分たちの『町』だと町民が思えるまちづくりを目指して取り組んできた」と話す。
日高川町は05年に、川辺町、中津村、美山村の3町村が合併して誕生した。県内で3番目に広く、合併前の川辺町と合併後の日高川町で行政に携わってきた久留米町長は「新しく日高川町という町が出来たが、小さな村、町という意識が根強く残らずに広い視野で日高川町民として成り立つような町をつくるのが大きな目標」と語る。
町長就任後、公約の一つ「人口維持の推進」のため、39歳以下の若い世代の結婚や住宅新築時の補助金制度の拡充に取り組んできた。町内に定住目的で新築住宅を取得する県内外の若者に130万円の補助金を出す「若者定住促進新築住宅取得支援事業補助金」は、17年から今年10月までに136件の申請があった。
「子どもが減ってきている中で、子育て施策も充実させていくことが大事」として、今年の9月から給食費の無償化にも乗り出した。
県内だけでなく県外からの移住施策にも取り組んでいるが、「県外の人の日高川町の知名度が低い。特徴的な部分がない」ことを課題と捉えている。「町の特徴的な部分を出せる施策を考えていきたい」と今後も移住施策に力を入れる構えだ。
11年にあった紀伊半島大水害を踏まえ、今後は住民の防災意識の強化に力を入れていく。町にあるそれぞれの区で自分たちの組織を立ち上げてもらい、町は組織活動についての説明会や訓練費用などを支援していく。「町の地形から、地域によって住民数の差が大きく、地域によって逃げ方も全然違う。それぞれで防災意識を高めてもらえるよう活動を支援していく」と意気込んだ。
〔横顔〕東邦大学理学部卒。旧川辺町、日高川町で産業経済課や総務政策課などを経験し、17年から町長。町内の廃校で建設中のオートキャンプ場の完成が楽しみ。
〔町の自慢〕自然豊かなところ。日本一のヤッホーポイント「椿山ダム」周辺がお薦め。
(了)
(2023年11月7日iJAMP配信)