2023/令和5年
126日 (

インタビュー 【トップインタビュー】目指すは「住民満足度100%」=石山敬貴・宮城県加美町長 2023/11/15 08:30

石山敬貴・宮城県加美町長

 奥羽山脈を隔てて山形県と隣接し、広大な田園地帯が広がる宮城県加美町。8月の町長選で初当選した石山敬貴町長(いしやま・けいき=53)は「住民満足度100%、日本一の加美町」を目標に掲げる。「大風呂敷かもしれないが、風呂敷はそのくらい常に開いておかないと」と抱負を語る。

 現新の一騎打ちとなった町長選では、町内の山林などで整備が進む風力発電施設の是非が最大の争点だった。町周辺では3事業者による風力発電事業が展開。既に完成した10基を含め、最終的に計約150基の風車が建設される予定となっていた。

 これに対し、選挙戦では計画の見直しを訴えて前町長を破った。「建設に伴って山林の表土が削られれば、保水力も落ちる。周辺流域の水害リスクが高まることも推測される」とし、今後、事業者に対し、計画の見直しを訴える考えを強調。計画されている残りの140施設の整備については、事業者に町有地を貸し出さない考えだ。

 「豪雨災害が増える中、リスクを増長させるような風力建設を認めるわけにはいかない」と力を込める。町の自然環境を保護するため、他自治体の事例を参考にしながら、再生可能エネルギー施設の設置に関する条例の制定も検討している。

 県内の再エネ事業を巡っては、県が大規模な森林開発を伴う再エネ事業者に課税する新税の導入を進めている。新税は一定規模以上の森林開発を伴う場合、営業利益の2割程度を課税する仕組みだ。

 市町村が設定する促進区域内に再エネ施設が建設される場合、非課税となるのも特徴。区域外は課税対象となるため、「促進区域を指定しなければ企業にとっては障壁となる」と語る。

 まちづくりでは、町の豊かな自然環境を生かした観光誘致に意欲を見せる。「手つかずの自然が多く、県北地域の新たな観光地としての起爆剤になり得る」と語る。関係人口の増加にも力を入れたい考えで、「町外へ出て行った町出身者をつなぎ留めるためのシステムをどう作るか相談しているところだ」と話す。

 〔横顔〕2009年から衆議院議員を1期務めた。好きな言葉は「一面突破、全面打開」。

 〔町の自慢〕歴史と伝統、酒蔵もある町。「ぼのぼの」などで知られる漫画家のいがらしみきお氏の出身地でもある。

(了)

(2023年11月15日iJAMP配信)

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